【怪奇】俺の村のハロウィンは異端かもしれん……【洒落怖】
俺の村のハロウィンが異端かもしれん……
2016年10月31日、某匿名掲示板にこんなスレッドが立った。
彼が住んでいる村で行われるハロウィンの行事、それは一般に知られる「ハロウィン」とは
少し異なるもののようだ。
1:ふり向けば名無し:2016/10/31(月) 21:39:48.14 ID:6uiM2fUWp
そもそもウチのハロウィンが正しいものなのか、なんて小さい時は疑いもしなかった
パソコンどころか新聞さえ来ないし、村の外の情報がなかったんだ
2:ふり向けば名無し:2016/10/31(月) 21:41:33.14 ID:6uiM2fUWp
村の柵を越えて街まで降りてった悪ガキが持ち込んだ新聞に、当時の
ハロウィンの様子が描かれてて、どうやらこの村のハロウィンはおかしいらしいと
気づいた
「おかしい」とは一体どういうことなのだろうか。スレッド民たちの催促に答え、主は
その奇妙なハロウィンについて語りだした。
12:ふり向けば名無し:2016/10/31(月) 21:56:12.14 ID:6uiM2fUWp
まず、毎年この時期になると選ばれた民家に妙な格好をした男(?)が訪ねてくる
奴は村の老人たちの間では「田んぼという概念」様、と呼ばれてた
変な名前だとは子供ながらに感じてたよ
14:ふり向けば名無し:2016/10/31(月) 22:01:48.14 ID:6uiM2fUWp
そいつが「入れてください」と言うと、家長が家に招き入れ、儀式のようなものを始める
確か2つあって、「憑地喰ノ儀(ツチハミノギ)」と
「童不哭夜舞(わらべなかぬよるのまい)だったはず。漢字は曖昧。
「田んぼという概念」様、という聞き慣れないワードにスレは混乱。
釣りを疑う声が高まり、証拠となる画像をアップロードするよう迫られる主。
しかし、なんとこの主は昨年この「偽ハロウィン」の儀式を隠し撮りしていたと言うのだ。
彼が貼った「田んぼという概念」様の不気味すぎる容貌とその儀式の異常さに、
スレッドは沸き立つ。
22:ふり向けば名無し:2016/10/31(月) 22:41:56.14 ID:6uiM2fUWp
これが「田んぼという概念」様
背丈は170くらいだったと思う
98:ふり向けば名無し:2016/10/31(月) 22:59:77.69 ID:6uiM2fUWp
村のみんなはもう麻痺してるけど、やっぱ不気味だよな
俺がズレてんじゃなくてよかったわ
127:ふり向けば名無し:2016/10/31(月) 23:32:00.68 ID:6uiM2fUWp
で、これが「憑地喰ノ儀」
動画なんで音出ます
156:ふり向けば名無し:2016/10/31(月) 23:48:78.69 ID:6uiM2fUWp
これ、食ってんのは「土」ね
今年いちばんデカいカボチャを実らせた土壌を奉納する儀式だってじいちゃんが言ってた
麦わら帽子に藁の面、腹部にはカラス避けの風船と思われるものをつけたスーツ姿の異形。
これが彼の言う「田んぼという概念」様なのだという。更に恐ろしいことに、
『憑地喰ノ儀』でバリバリと食べているのはなんと土。そして、続けざまに貼られた
『童不哭夜舞(わらべなかぬよるのまい)』の様子で、スレ民たちの恐怖は最高潮に達する。
172:ふり向けば名無し:2016/10/31(月) 23:55:10.88 ID:6uiM2fUWp
これが俺の持ってる最後の動画
一応【閲覧注意】
173:ふり向けば名無し:2016/10/31(月) 23:57:10.88 ID:6uiM2fUWp
これが「ハロウィン」でもなんでもない事は今ならすぐにわかる
じゃあ俺たちは一体、なんの儀式の片棒を担がされてたんだ??
誰か手がかりになりそうな情報もってたら教えてくれ
いろんな人を置いて俺はあそこから逃げてきた
今さら知ったとしてどうすることもできないけど、知りたいんだ。頼む
故郷から逃げてきたというスレ主は、真実を知りたいという悲痛な声と共に話を終える。
有益な情報は出ないままスレッドは進み、このまま後味の悪い終わり方をするのかと思われた
その時、民俗学を専攻していたという者がとある仮説を語り出す。
371:ふり向けば名無し:2016/11/01(火) 00:54:10.89 ID:7uIIaJuFG
これって、A県H市の風習ですよね……?
373:ふり向けば名無し:2016/11/01(火) 00:57:10.77 ID:7uIIaJuFG
私、大学のゼミでH市の地域史を研究していたのですが、
「田んぼという概念」の訪問。
これって江戸時代初期の因習がハロウィンと混じり合ってできたものではないでしょうか
381:ふり向けば名無し:2016/11/01(火) 01:10:34.89 ID:7uIIaJuFG
>>1 さんが紹介してくださった儀式に、過去の言い伝えを反映していると思われる箇所がいくつかあります。まず初めにこの「憑地喰ノ儀」ですが、『土』が『地に憑く』と当て字表記してあります。
これは「田んぼという概念」という存在が古くからこの地に取り憑いたカミのような存在であることを示唆していると思います。
387:ふり向けば名無し:2016/11/01(火) 01:30:10.89 ID:7uIIaJuFG
そして私が最も恐ろしく感じたのは「童不哭夜舞」です。
この地には、口減らしのために次男以下の子供を殺し、土の肥やしとして畑に埋めていたという伝承があったという記載があります。
後に書きますが、その伝承と「童不哭夜舞」の間には関連性があるのではないかと私は思っています。
そして、これらの地域史が、「田んぼという概念」という存在を根底として繋がっていたとしたら。
なんと大学のゼミでスレ主の故郷を研究していたという>>371。
ハロウィンと銘打って行われていた2つの儀式には隠された意味があることを仄めかし、
更にそれらと「田んぼという概念」という存在、そしてスレ主の村の地域史が
1つの糸で繋がっているという。
そして語られる>>371の推理はスレ主の故郷にまつわる『闇』を暴き、
一連の物語に深い影を落とすのであった……
388:ふり向けば名無し:2016/11/01(火) 01:32:90.79 ID:7uIIaJuFG
ここからは私の推測の域を出ませんが、納得のいく一つの結論に辿り着きました。
初めに言いますと、「田んぼという概念」はおそらく邪神です。
392:ふり向けば名無し:2016/11/01(火) 01:39:10.22 ID:7uIIaJuFG
それは村に飢饉と凶作をもたらす神として村に畏れられてきました。飢えに苦しんだ村民はある時、奴に贄を捧げ、呪いを収めようとしました。
すると、奴の呪いは一転、五穀豊穣の祝福として村に豊作をもたらすようになりました。
そうして村民は、毎年秋の終わりと共に民家を訪れる「田んぼという概念」様に、口減らしを兼ねて数人の童を捧げるようになります。
393:ふり向けば名無し:2016/11/01(火) 01:43:87.89 ID:7uIIaJuFG
「童不哭夜舞」…
史料には、童が空腹で夜泣きをしないような豊作を約束する儀式であると記載されていました。しかし「童が泣かない」ということは言い換えると、「夜泣きをする童がもういない」という意味に捉えられませんか?
397:ふり向けば名無し:2016/11/01(火) 01:44:80.67 ID:7uIIaJuFG
この儀式は本当は、童を生贄に捧げる儀式だったのではないでしょうか。
402:ふり向けば名無し:2016/11/01(火) 01:54:10.89 ID:7uIIaJuFG
その因習がハロウィンと混在して今もなお続けられている…
>>1さん、差し出がましいようですがなるべく早くH市から離れることをお勧めします…
連投・スレ汚し失礼しました。
人柱と引き換えに豊作を得る過去の忌まわしき風習が、収穫祭としてのハロウィンと交わり
歪に姿を変えて現代まで生き残る……恐ろしい話である。
しかし、異なる文化を取り込み原型なく姿を変えてしまったスレ主の故郷のハロウィンに、
コスプレ大会へと変貌してしまった今日のそれを重ねてしまうのは筆者だけだろうか。
もしも、現在社会問題にもなっている若者たちのコスプレハロウィンが、何かしらの
『因習』『呪術』を取り込んだ結果生まれてしまったものだとしたら…?
我々は今一度、ハロウィンがもつ本来の意味を見つめ直すべきなのかもしれない。
〜おしまい〜