この広い世界のはしっこで、ぬいぐるみとお話ししよう
どうもクワキと申します。
いやー、しかし。
広れ〜〜なァ、空。
なあ、君もそう感じるだろ? ミカルゲ。
嘘だよ。
広くねえって、空。だってこれは天球に描かれた絵画なんだから。
ルシャ=デ・サントパリエ。画家。『踊る婦女』の。あいつが描いたの。
だから所詮キャンパスなのよ。天空って。
おん!!!!
「ひぃッ……!」
おっと、紹介が遅れました。こちらはですね、僕が大事にしているミカルゲぬいぐるみです。
僕が頑張った日は、時々こうしてお話ししてくれるのだ!
ねえねえミカルゲ、今日はあれやってくれないの?
「あ、ああああああれ……??」
おん!!!!
あ〜〜〜〜〜れ。さあ、早くしないと奇跡の時間が終わってしまうお(やる夫)(AA略)。
「ふううう……ふう……お…」
………………………いいいいいぃぃね!
僕が思ってたのとはちょっと違ったけどそれもまたいい!!
ねえ、ミカルゲ。このままずっと僕と話していようよ。
「……は、はあ!?それは、や、約束が違う……!だろ……」
…………まあそうか。ずっと一緒だと飽きちゃうしね。経験上、齟齬も生まれやすい。
じゃあ、話を続けようか。
なんで僕が空の正体に気がついたのか。それはね、僕が世界中の全ての空の写真を収集していたからなんだ。古今東西、全ての写真をね。そうしたら気づいたんだ。いいかい? 1861年以前の空には色はなかった。いや、こう言った方が正確か。1861年を境に、何者かの手によって空に青色が『加筆』された。それをやったのがサントパリエなんだ。そんなのは無理だ、って顔だね?ミカルゲ。実は前にもこの説明したんだぜ?まあいいや。1860年の終わりに世界各地で大震災が続けざまに起こったのは知ってるだろう。教科書でやったね。そんなことがあったもんだから世界中の人々の畏怖と畏敬のエナジーは大地の神に注がれるようになり、天空の神への信仰はすっかりおざなりになってしまった。信仰の力を失った天空神はお隠れになり_________「もうやめろ!!!」
は?
ミカルゲ。
いいのか?
「奇跡の時間」はもうお終いなのか!?
もう一度鳴け。『アレ』を。
鳴け鳴け鳴け鳴け!!!!!!!
それとも!!!!!!!!!
楽しかった時は終わりを告げてしまうのかァァァァァ!!??!!??
広いなァ、空は。
〜FIN〜